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某日、ボクは秋葉原から帰る為、上野発取手行きの常磐線に乗っていた。
座席に座っているボクの前に、一人のおばあちゃんが、南千住で乗ってきました。

ボクは、そのおばあちゃんに座席を譲る決意をして、立ち上がり一言
『どうぞ』
と言いました。
ところが、おばあちゃんはボクの好意を拒んだのです。
一度、立ち上がってしまったからには、こちらもそんなに呆気なく引き下がるわけにもいかないと思った次の瞬間、
ボクの口から出た言葉、こんな言葉でした。
『いえ、次の駅で降りますから・・・・』
当然、嘘です。
ボクは、終点の取手に住んでいるのだ。次の北千住で降りるわけがない。
その言葉に、おばあちゃんも安心したのた、座席に座りました。
当然、言ってしまったからには、次の北千住で降りるほかなくなった訳です。
しょうがないので、ボクは北千住で降りました。

北千住で、次の取手行きの電車を待つ間にこんな事を思いました。
ボクは嘘をついた。
嘘をついて人を騙した。
でも、何でだろう?
嘘をついて人を騙したのに、なぜ、こんなに心が晴々しているのだろう?
勝手だよね・・・・人間って。

(98/11/19)


 
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